研修の概要
- 研修の目的:
上高地は、散策中に多くの鳥たちに出会える貴重な場所です。今回の野鳥研修は2日間にわたって実施しました。 - 開催日時:2025年5月25日(日)~26日(月)
- 場所:上高地 小梨平~明神池
- 参加人数:5名
研修内容
1日目
午後に上高地ビジターセンターに集合し、まず驚いたのはビジターセンター入り口のすぐそばでカワガラスが営巣していたこと! カワガラスは上高地では比較的よく見られる鳥ですが、子育ての様子を間近で見られる機会はそう多くありません。ヒナが3羽確認でき、ガイドの皆さんも私も大興奮でした。
この日は座学が中心で、鳥の基礎知識や、上高地で見られる鳥・見られない鳥、ガイド中に話せる雑学などをお伝えしました。
宿泊は小梨平キャンプ場でのテント泊。上高地では夜に鳴く鳥が何種類かいます。この夜も、トラツグミやヨタカ、ホトトギスなどの声が聞こえ、参加者の皆さんも気づいていたようです。

2日目
野鳥研修を2日間行う理由は、早朝の雰囲気を体験していただくためです。野鳥たちは夜明け前からさえずり始め、特に日の出後がもっともにぎやかになります。いろいろな種がいっせいに鳴くため、聞き分けは難しいですが、まさに鳥たちの演奏会といった雰囲気が高原らしい爽やかさを演出してくれます。前日の日中とはまったく違う印象を受けるはずです。
テントを撤収したあと、まずは岳沢湿原へ。歩き始めてすぐに前日観察したカワガラスやキセキレイの親子、木のてっぺんでさえずるアカハラなどじっくり観察することが出来ました。ただ、こんなに近くで見られても、意識していないと見逃してしまうのが「野鳥」。識別はやはり難しいですね。

上高地の鳥たち
岳沢湿原では、マガモとオシドリという2種のカモがじっくり観察できます。
「山なのにカモ?」と思われるかもしれませんが、夏にこの2種が見られる地域はあまりありません。カモの仲間であるカルガモは都市部でもよく見られますが、夏に見られるのはほとんどこのカルガモだけです。こうした点も上高地の魅力の一つです。
散策路では、センダイムシクイ、メボソムシクイ、コルリ、キビタキといった夏鳥を観察しました。姿を見つけるのは難しくても、声を覚えるだけで散策の楽しさは倍増します。
ウグイスやエナガなど、通年見られる野鳥にも出会えましたが、「どこにいるのかわからない…」という声も。そんなときは、野鳥の生態を知ることが大切です。上高地にいるすべての鳥を覚えるのは大変ですが、まずはウグイスやエナガなど、よく知られた鳥や自分の好きな鳥から覚えていくと、鳥への親近感も湧いてきます。

自然解説も一緒に
自分自身も鳥だけを見てガイドすることはありません。歩く中で出会う植物や動物、風景もあわせて紹介します。さらに、岩石や天気の話題も加えることで、ガイド内容に厚みが出ます。今回も参加されたガイドの皆さんと、上高地の自然について語り合いながら進めることができ、とても有意義な研修となりました。

出現した野鳥
ホトトギス、ヨタカ、フクロウ、トラツグミ、ヒガラ、シジュウカラ、ウグイス、センダイムシクイ、メボソムシクイ、アカゲラ、アオゲラ、コゲラ、ミソサザイ、カワガラス、オオルリ、キビタキ、マガモ、オシドリ、コマドリ、コルリ、キセキレイ、アカハラ、アオジ、クロジ、コガラ、キバシリ、ハシブトガラス、キジバト、ゴジュウカラ、エナガ、ウソ、エゾムシクイ、コサメビタキ、イカルチドリ、キクイタダキ
















