2025年9月SMNGA研修 『栂池自然園はどのようにしてできたか?』

研修の概要

  • 研修の目的:
    栂池自然園はどのような場所にできたのか」を地形・地質・植生に目を向け、地学の専門家の解説を聞き、ガイドツアーに活かせる知識の習得
  • 開催日時:2025年9月11日(木)
  • 場所:栂池自然園
  • 参加人数:8名

研修内容

栂池自然園は、北アルプスの登山口であり、春はミズバショウ、夏は亜高山〜高山植物、秋は紅葉、冬はスノーシューやバックカントリースキーと一年中訪れる人が多い山岳観光地です。
今回「栂池自然園がどのような場所にできたのか」をテーマに「地久学舎」の富樫均氏をお迎えして園内を歩きながら紐解いていきました。

雨の降る前に早速出発。自然園入口にて集合写真。
歩き始めてすぐに植物、食害調査の一団に遭遇。木道脇にはミズバショウの根をイノシシが掘って食べた現場が沢山ある。

日本有数の高層湿原と紹介されている栂池自然園ですが、よく見ると低層湿原、高層湿原、池塘、沢、ササ藪、針広混交林、風穴のある小ピーク、緩やかな斜面など様々な環境がモザイク状になっていました。

ミズバショウ湿原で低層湿原、高層湿原が棲み分けられ、湿原は広大なエリアに点在し、笹藪、針広混交林、池塘、小ピークなど様々な環境がモザイク状になっていると説明を受ける。そういえば樹林帯が多い印象の自然園内。
浮島湿原で池塘のでき方の説明を受け、昼食後に地質図を見ながら栂池自然園がどのような場所にできたのかを解き明かす。

これまで栂池自然園は白馬乗鞍岳の火山活動によってできたとされていましたが、2000年以降の研究で大規模な地滑り地の中にあることがわかりました。

小蓮華山から白馬乗鞍岳への稜線が見えてきたところで目を凝らして稜線直下の岩壁を確認。岩壁の下から斜度が変わっているのは地滑りの痕跡。

地滑りは十数万〜数万年前の期間に大小何回も繰り返され現在の栂池自然園の地形が出来ました。
地滑りによってできた地形は起伏があり、窪地に湿原ができ、高まりには森林やササ藪、さらに大きな高まりが小ピークにと狭い範囲に環境の変化ができたという訳です。

楠川の河原から見える崩壊堆積物の路頭。山側に傾き、礫層の間に砂岩泥岩層が確認できる。崩壊堆積物の上に水が溜まり、砂岩泥岩が堆積、その上にさらに崩壊堆積物が溜まることを何度も繰り返したことがわかる場所と説明を受ける。
傾きは地滑りした時に起こる円弧滑りの一環。

富樫氏の解説により、これまでと栂池自然園の見方が変わった研修になりました。
花の時期も紅葉の時期も素晴らしいですが、地形や地質の視点でガイドと一緒に
栂池自然園を歩いてみるのはいかがですか

投稿者: smnga2006

<NPO静岡山岳自然ガイド協会> 2006年、静岡県に新しい山岳及び自然ガイドの組織として 公益社団法人 日本山岳ガイド協会に認定されました。 私達は、プロのガイド組織として、水準の高いガイドの育成と 野外活動を愛好する方々に、安全で楽しい自然体験を提供して ゆこうと思います。 <当会の目的> この法人は、一般登山者、一般登山希望者に対して、山岳及び自然 ガイドに関する事業を行い、安全で楽しい登山活動と自然体験活動の 普及、発展に寄与する事を目的とする。