2025年4月SMNGA研修 『春の植物観察~花と昆虫の関係~』

研修の概要

  • 研修の目的:
    ・ 植物の解説技術の向上
    ・花の色や形が昆虫とどんな関係があるのか理解する
    ・花を観察し、その見た目から何の仲間なのか知るトレーニング
  • 開催日時:2025年4月27日(日)
  • 場所:埼玉県立神川げんきプラザ
  • 参加人数:4名

研修内容

春は様々な種類の野草が咲くため、花について学ぶのに適しています。
今回は春の野草を観察しながら、何の仲間なのか、なぜこの形や色なのかに注目し、
同定スキルアップをしながら花と昆虫との関係について学びました

普段何気なく咲いている花ですが、花粉を何に運んでもらいたいのかという視点で観察するとまた新たな発見があります。
例えば、風に運んでもらいたい場合は、比較的地味な花が多いです。(ヨモギなど)
また、昆虫に運んでもらいたい場合は目的の昆虫に合わせた色や形をしています。

チョウをターゲットにしたツツジ
オオジシバリ

この時期に咲くツツジの仲間はピンクやオレンジが多いです。
それはチョウに花粉を運んでもらうため、チョウに見やすい色にすると共に形も合わせています
チョウの口は長いストロー状のため、ツツジの花はラッパの様な形をし、花の付け根に蜜を入れています。そして蜜を飲みに近づいたチョウに花粉がつくように
おしべ”や“めしべ”は大きく花から出て羽につくようになっています。
さらに花粉に触れてみると、絡まりやすいよう花粉が糸状に繋がっているので面白いです。
また、タンポポのように黄色く花の面積が広い花は体の重たい甲虫でも止まることができ、比較的どんな昆虫も花粉を運ぶことができます
このようにどんな昆虫に対して咲いているのか知った上でフィールドに出て植物観察をしました。

マメ科のカラスノエンドウ

フィールドに出て、実際に図鑑を使いながらその植物が何なのか調べるスキルもガイドにとって重要です。
そっくりな種類との違いも実際に比べて見分ける経験を積んでいきます。

ムラサキ科
マメ科

また、知識だけでなく体験も重要です。
今回は食べられる野草を食べてみたり、野草で遊んだりしました。

シュウ酸を含むカタバミで10円磨き大会。
一見地味ですが、やってみると夢中になります

お子さんから大人まで対象者に合わせた引き出しを持っておくことがガイドをする上で役立ちます。

今回は足元の野草を改めて観察することで、意外な一面や新たな種との出会いなどを感じていただきました。自然と聞くと遠くまで行かなければならないイメージもありますが、一歩外へ出るだけで足元には想像以上に様々な生き物たちが暮らしています。
みなさんもぜひ身近な自然観察を楽しんでみてください

2025年3月SMNGA研修 『積雪期安全管理』

研修の概要

  • 研修の目的:
    ・ ビーコンサーチトレーニング、捜索の流れの確認と精度向上
  • 開催日時:2025年3月3日(月)
  • 場所:新潟県 湯沢町 平標山山麓
  • 参加人数:4名

研修内容

雪山で活動する上で、寒冷障害、滑転落、雪崩が3大リスクとして挙げられます。今回は雪崩について着目し、遭遇しない為の行動と遭遇してしまった時の対応方法の確認を行いました。
雪崩に対する3種の神器として「ビーコン」「プローブ」「シャベル」が挙げられますが、これらは持ち歩くだけでは意味がなく、正しく使用出来てこそ意味を成します。
まず、ビーコンに関しては電波を正しく送受信出来なければいけません。そのためには電波干渉を考える必要があり、送信時は電子機器を含む金属類から20cm離すこと、受信時は電子機器より50cm離すことが重要です。実際に金属や電子機器を近づけることで電波干渉させ、受信距離にどのくらい影響を及ぼすか、実際の距離とビーコンの表示の変化で確認しました。

実際の距離とビーコンの表示変化の確認

次にビーコンのアンテナの向きによる受信強度の違い、曲線を描くように発信される電波特性、概ね1秒の電波発信間隔、これらを意識しながら「シグナルサーチ」「コースサーチ」「ファインサーチ」それぞれの段階で速度と精度のバランスを確認しました。

ビーコンサーチ

プローブに関しては埋没位置のピンポイント特定として、組み立てるタイミング、プロービングの際の持ち方、刺し込みの深さ、角度、間隔を意識し実施しました。

プロービング


シャベリングに関しては迅速な掘り出し作業と体力が必要な為、ポジションのローテーションのタイミング、各ボジションの役割、掘り出し作業のしやすい配置を確認し、実践しました。また、硬い雪の場合のシャベルの使い方も含め確認しました。

グループでのシャベリング

それぞれの動作を確認後、雪崩に遭遇したことを想定してグループレスキューを実践しました。ここではリーダーによる指示、チームワークが重要なポイントとなります。シナリオ終了後、振り返りを行い、良かった点、改善すべき点を話し合い個々の技術を高め合いました。
雪崩に遭わない為には事前の情報収集、当日の行動としては危険箇所通過時の把握とグループマネジメントなどが大切ですが、その他、雪の観察も大切になります。
行動中、雪の状態の変化や他の斜面で雪崩が発生していないか、ワッフ音、シューティングクラックなどが起こっていないかなど確認すべきことはたくさんありますが、今回は実際にピットを堀り、積雪層の確認と弱層の評価方法の一つ「コンプレッションテスト」を実施しました

ピットを掘る様子
積雪層観察

雪山は夏山とは違った魅力がたくさんあります。一方、雪山ならではのリスクがあることも忘れてはいけません。リスク回避の方法と有事の際に適切な行動がとれるかが重要となります。正しい知識を持って雪山を楽しんでいきましょう。

2024年6月SMNGA研修 『あるある症例から学ぶ早期発見・予防法と初期評価の基本』

研修の概要

  • 研修の目的:
    会員から要望のあった症例、および、あるある症例をもとに、普段のガイド活動において実践的で役立つ、予防方法、および、早期発見・早期対応方法を学ぶ。
  • 開催日時:2024年6月30日(日) 9:30~15:40
  • 場所:アイプラザ豊橋
  • 参加人数:13名

研修内容

ガイドは、安全管理を徹底的に!傷病者を出さないための予防法、早期発見、早期対応。でも、具体的にはどうやって?

参加者からの事前リクエスト内容も含む、実際の症例、7症例+αをもとに、その場に居合わせた時に、ガイドとしてどのような行動をとったらよいか?
1つ1つの症例に関して、観察ポイントや、どんな声かけをして正確な情報を引き出すのか、本人からの主観的な訴えだけではなく、客観的な評価方法、考え方のプロセスについて、参加者全員で意見を出し合い、考え抜きました

研修の様子

外傷性の怪我は視覚で確認できることが多く対応しやすい。一方、内因性の疾患のことは、わかりにくい。だからこそ、参加者全員で可能性のあるいくつもの要因を探し出してみました。実際に、要因は1つだけでなく複数ある場合も多いです。複数の要因から、さらに情報を正確に得ることによって消去法で絞り出していきます。そして、これから起こり得ることの予測をして具体的な早期対応、予防をはかっていくことが重要です。
 白熱した意見交換の後は、どうしてそのような症状が起こったのか、登山ガイド&DIMM山岳看護師でもある講師から根拠となる医学的視点における病態生理、メカニズムについて説明がありました。

メカニズムを理解した上で、会員から似たような症例の経験談を語ってもらいました。会員間でお互いに情報共有することで、さらに理解を深めることができます。会員ひとりひとりの経験談こそが、どう声かけするか、ガイドとしての役割、予防方法は?今後の登山行動計画は?ガイド視点で考え、あした。

脱水・熱中症対策

夏山本番に向けて、脱水、熱中症対策は欠かせないです。
経口補水液あれこれ。市販のものもあるけれど、どの家庭にもあるものでお手軽に手作りできます。顧客が真水しか持っていない時は、どう対応する?顧客が持ってきているものを有効活用!飲み比べ、試飲してみました。

あるある症例に対して、それぞれのガイド達の予防を含めたオススメ対応グッズ!
これこそフィールドで役立つグッズの紹介あれこれ!

疲労回復、免疫力アップ
かぼすジュースレシピ
ソール剥がれに自転車のタイヤチューブ(自転車屋さんで破棄されるチューブでOK)
フリクション抜群!
靴擦れ対策、目の洗浄・・・。

その他、こちらにアップ仕切れない数々のグッズに講師も写真を撮りまくりでした(笑)

本格的な夏山シーズン前に、参加者全員で真剣に考え意見交換、情報共有。
まさに、フィールドで役立つ実践的な内容の確認ができた研修会でした