2025年6月SMNGA研修 『沢歩き 幕営・読図』

研修の概要

  • 研修の目的:
    ・沢を歩くときに必要な目線と技術を学ぶ
  • 開催日時:2025年6月1日(日)~2日(月)
  • 場所:ナメラ沢・久渡沢
  • 参加人数:6名

研修内容

パーティリーダーとして沢に行くときに必要な目線や思考・知識と技術習得を目的にしました

逃げ道を確保する

道のない場所を前進する場合には退路を整えておくことはとても大切です。まず集合時から地図上で沢への入渓点を考えてもらい参加者の挙げた複数のポイントを実際はどんな地形になっているか見に行きました。
ロープを使わずに入渓できる場所はそのまま沢から登って脱渓できる場所になるので、翌日に沢を下降してきたときの脱渓ポイントを事前に複数の場所で見つけておいたことになります。

思い込みなく判断する

パーティリーダーとして必要なことは技術や知識だけでなく、目の前にある自然物や自然現象を思い込みなく判断をする必要があります。リーダーはパーティメンバーの能力を考えながら登山道のない場所においての歩くラインや声かけ・対応が必要な場合には安全に通過できるようにフォローを行いますが、リーダーが思考のバイアスを持たないように意識する必要があります。

地図読み

地図読みでは、自分の位置や方向を起点にしたヘディングアップと東西南北のコンパス角を起点にしたノースアップの違いが重要ですが、今まで地図読みとして学んできた技術がどちらに当たるのか整理しました。

支点構築と確保

小滝ではルートの見極めと退路の確保(エスケープのプラン)や合図を決めておくことをスピード感もって行えたチームから登りました。登行後に各チームがどのような考えでセカンドを確保したかを全員で振り返り講評。支点強度の評価や立ち位置と合図、手順がテキパキ行えたかや作った確保システム自体の良し悪しがポイントになりました。

幕営

各自幕営具をセットした後、夕食としました。何人かで火の手当をしましたが、火の付け方や火の維持、地面へのダメージを防ぐことや自然分解する形(炭でなく灰)で終えることなど必要な配慮の話をしました。

下降技術

ロープのまとめ方や基本的な懸垂下降の手順を講習してから、2人1組となり尾根から沢へ2ピッチの懸垂で再入渓しました。2人で下降するときは支点や下降ライン・ピッチを切る場所などをあらかじめ2人で話し、崩落や落石のケアなどにも注意する必要があります。

昨日登った小滝では各自懸垂下降を行い、久渡沢では12m滝を斜めに懸垂下降しました。岩角を避けたりハングや斜めに降りる場合の体が振られる対応、下降支点が自分より下にある時に最初にぶら下がるコツなどもあります。

最後に、前日に見つけておいた脱渓ポイントから林道へ上がり下山しました。

2025年2月SMNGA研修 『積雪期ルートガイディング・アイゼンワーク』

研修の概要

  • 研修の目的:
    ・ 積雪期のルートガイディング及びアイゼンワークの実践。
  • 開催日時:2025年2月14日(金)
  • 場所:山梨県 山梨市 西沢渓谷
  • 参加人数:6名

研修内容

冬山技術は多岐にわたりますが、標高の高いところに行くと雪崩対策やラッセル、風対応など様々な自然現象に向き合わなければなりません。それらの厳しい条件を排除して、シンプルにアイゼン歩行に特化するということがねらいの研修です。渓谷の氷った遊歩道でアイゼンを装着し、どういう足の動きでアイゼンの全ての爪をフラットに着氷できるか、しっかり刺して安定して歩くことが出来るか、というところです。

渓谷美で多くの観光客が訪れる笛吹川 西沢渓谷です。アップダウンが多い整備された遊歩道ですが、冬期はその遊歩道が氷に覆われ一般の人は近づけない西沢渓谷です。そのごまかしの利かない遊歩道でアイゼンを装着して七ツ釜五段の滝までピストンしました。

アイスハイキングという感じでした。

40~50度の傾斜のアイス斜面が西沢渓谷本流を渡った対岸にありました。トップロープを3本セットし、安全を確保してあくまでフラットフッティングにこだわってトライ。アイゼンの爪を効かせないと安定して歩けないという状況です。それぞれ持ち寄ったピッケルのピックの形状や長さなどを比較して刺さり具合を確認したりしました。

トップロープの支点はVスレッド(アバラコフ)。今回はアイスクライミングではないのですが、支点となる立木がないところでも氷ってさえいれば(氷に厚みがないとダメですが)作れる支点です。アイススクリュー一本と細引きとほじくり出すスクリューの穴に入るフックがあれば作れます。クライミング用のナッツキーが使えたのが面白かったです。

雪山も夏山も「歩くこと」が基本です。ただし雪山の場合は、雪や氷の上を歩くための歩行技術が求められます。
アイゼン歩行は前爪を利用するフロントポイントとフラットフッティングの2つです。斜面の角度によって様々な足の置き方があるのがフラットフッティングです。どちらにしてもピッケル(ストック)との組み合わせになります。

2025年1月SMNGA研修 『積雪期の読図』

研修の概要

  • 研修の目的:
    ・ 積雪が十分にある場所での読図とルート取りを実践すること。
  • 開催日時:2025年1月31日(金)
  • 場所:斑尾高原 沼ノ平湿原周辺
  • 参加人数:3名

研修内容

積雪が十分にあるエリアでは登山道、散策路は雪の下に隠れ、どこでも歩ける反面、元の場所や目的地に行けるよう特徴的な地形を見逃さず、常に現在地確認して行動することが求められます
窪地や沢、雪崩地形など危険地帯の把握や回避または注意喚起などを含めた安全に配慮したルート取りも重要になります。
そんな積雪たっぷりの斑尾高原の沼ノ原湿原で雪の中の読図研修を行いました。

沼ノ原湿原を移動

降雪後の沼ノ原湿原は70〜80cmの新雪で、急遽スノーシューからスキーシューに道具変更しても、終始膝〜膝上のラッセルを強いられました。

ラッセルで移動中

特徴的な地形に番号をつけた1/25000地形図を見ながら先頭を交代しつつ順番に番号を巡り、各番号のポイントでは「なぜこの場所か」という理由を共有し、読図力を高め合いました。

読図中
読図中

この冬は久しぶりに雪山登山やスノーシューハイキング、バックカントリースキーが楽しめる積雪量になっています。ガイドと一緒に雪のアクティビティはいかがでしょうか。

2024年12月SMNGA研修 『無雪期読図・定光寺』

研修の概要

  • 研修の目的:
    ・ 読図力の向上、基本とポイント確認、オリエンテーリング実践
  • 開催日時:2024年12月18日(水)
  • 場所:愛知県 定光寺公園周辺地形
  • 参加人数:6名

研修内容

担当講師が、とあるオリエンテーリング大会のコース設定をしたことから、その大会地図を活用した読図研修となりました。普段見慣れている2万5千分の1地形図とは異なるので、参加者皆さん最初は戸惑いながらも、道なき道を進んでいきました。地図を普段どう見ているか? 現在地はどう把握しているか? オリエン地図の見方は? などなど、話合いながらの研修スタートです。

地図を見ながらスタート地点へ

オリエンテーリング大会で使用した地図は1万分の1。等高線間隔は5m。距離感や尾根と沢の見え方など、序盤は感覚の調整が必要となりました。ただし、読図の基本的考え方は縮尺が異なっても同じです。

読図練習にはオリエン地図もいいです

先頭を順番に交代しながらポイントに向かいます。どういう考え方でここまで来たのか、次はどのように進むのか、見るべきものを言葉にして、考え方を共有しながら進みます。

次のポイントまでどういくか?(考え中)。

目指すポイントは一般登山道の上にはありません。道なき道を、地図とコンパスを頼りに、尾根や沢、ヤブの途中にあるポイントに向かって進んでいきます。もちろん読図練習中は、スマホの地図アプリは見ません

どの方向にどれだけ進むか意見交換中。

万一迷ったときには、何を頼りに、どうリカバリーするか? 普段のツアーでガイドが道に迷うことはありませんが、イザというときに備えて読図力を磨いております

ゆる~い尾根や沢をどう読み取るか?

午後は2人一組になって、オリエンテーリングコースを実践。楽しく面白い読図研修となりました。
静岡山岳自然ガイド協会のガイドは普段から読図力を磨いております。バリエーションルートでも、どこへでも、行きたい山域があれば、一度お問い合わせください!

研修終了時の感想/意見交換。

読図研修

研修の概要

  • 研修の目的:
    地形図や周りの景色を見ながら現在地を確認する。事前に設定したポイントを見分ける
  • 開催日時:2024年4月14日(日)
  • 場所:伊東アルプス
  • 参加人数:4名

研修内容

静岡県伊東市にある大平山周辺にて会員4名で地図読み研修を行いました。 3月に実施の予定でしたが、天候の関係で今回の日程に変更となりました。地形図や周りの景色をよく見ながら現在地を把握する、事前に設定したポイントを見分ける、どうしてそこがポイントと思ったのか意見交換しながら16時までしっかり歩きました。

地図と周りの地形を見比べながら現在地を確認します。

アブラチャンやしゃくなげなどの花も咲いており、自然観察も行いながらの研修となりました。普段から地形図をよく見て歩くことの重要性、一朝一夕にはいかない地図読みの難しさを改めて感じる研修となりました。

天気も良く景色も素晴らしい、研修でした