野鳥を中心としたガイド 研修

研修の概要

  • 研修の目的:
    夏山ガイドに使える野鳥を中心とした自然ガイド
  • 開催日時:2024年5月24日(金) 〜25日(土)
  • 場所:上高地周辺
  • 参加人数:8名

研修内容

会では初の野鳥を対象とした自然解説研修。皆さんがよくガイドされると思われる上高地で研修を行いました。上高地は奥穂高岳や焼岳などの百名山のベースとして多くの登山客が訪れますが、探鳥地として多くのガイドブックで紹介されています。実際に5月から8月にかけて多くの野鳥がさえずり、都市部で見られる鳥から亜高山帯に特化した鳥まで多くの野鳥が観察できます

研修2日目。小梨平の朝

今回の研修は2日間かけて行いました。2日かけた理由は、日中だけではなく夜間に鳴く鳥がいるため、それらの鳥を確認するためにテントを張り、夜間聞こえてくる鳥の鳴き声を確認してもらいたいのが一点。もう一点は、野鳥は早朝活発にさえずる傾向にあるため、早朝から研修を開始し、より多くの野鳥をガイドの皆さんに確認してもらいたいことがありました。実際に夜はヨタカジュウイチなど夜間にも鳴く鳥の鳴き声が聞こえてきました。また早朝は多くの鳥のさえずりが上高地の爽やかな朝に響きわたり、オオルリキビタキなど人気の鳥を目視することができました。

研修の様子


幸いなことに2日間とも天気に恵まれ、上高地周辺は絶好の散策日和になりました。小梨平を出発し、河童橋を渡って岳沢湿原へ。岳沢湿原周辺の林内ではウグイスカケスなど名前は聞いたことあるけど普段あまりじっくり観察しない鳥たちを観察し、水辺ではオシドリマガモなど、夏の上高地を代表する鳥たちを観察しました。

岳沢からの眺め

岳沢湿原を観察した後は岳沢方面に登り、標高を上げて鳥類相の違いを体感しました。鳥は標高が高いほど数は少なくなる傾向にあります。しかし標高が上がり、植生環境が変わると、観察できる種も変わってきます。ホシガラスやイワヒバリはその代表ですが、今回は見ることができませんでした。その代わり、湿原周辺では確認できなかったコマドリルリビタキといった鳥たちの鳴き声が確認できました。

実際に野鳥を観察しながら山のガイドをするのはかなりの時間立ち止まらないと難しいです。そのため、野鳥の解説をしながらガイドをするには、鳴き声を覚えることが重要になります。今回はガイドに使える種の鳴き声を中心にレクチャーし、野鳥を目視するだけではなく歩きながら解説をするノウハウを身に着けてもらいました。

【今回確認できた主な野鳥】

オオルリ
キビタキ
オシドリ

5月12・13日 春の上高地「自然解説研修会」

5月中旬上高地は春まっさかり。高山の残雪はだんだん減り、間もなく夏山シーズンを迎えます。

春真っ盛りの上高地

今年の上高地の雪解けは早く、よく探すとカラマツ林の日蔭に少しだけ残雪を残すのみ。

夏の登山シーズン真っ盛りになると、上高地ターミナルでバスを降り、涸沢、槍・穂高をまっしぐらに目指し、上高地はただ通るだけという登山者は多いです。

ガイドの中でも、『横尾から先が本番なので、そこからはお客様にいろいろ話すのですが、上高地は通りすぎるだけなのであんまり説明するものがないんだよ』という者は正直多いと感じています。

約10㎞、見るべきポイントはいっぱいあります

今回はそんな上高地の見どころを、ガイド同士で見つけ合う研修を行いました。

河童橋で、ひとり物思いにふけるサル吉君
上高地の基部を構成するジュラ紀の地層

上高地には日本列島がまだ大陸とくっついていた時代の地層から、槍穂高超火山がカルデラ噴火した際の溶結凝灰岩層、世界一若い花崗岩とされる滝谷花崗閃緑岩など、いろいろな地層が見られます

ガイド同士、意見を交わします

ガイドは人が暮らした歴史、動物、植物、気候、風土など、様々な情報をインプットして、上高地をお客様にご案内します
これからの季節、いつもとは一味違う目線で上高地を楽しんでみてはいかがでしょうか。