研修の概要
- 研修の目的:
・ ビーコンサーチトレーニング、捜索の流れの確認と精度向上 - 開催日時:2025年3月3日(月)
- 場所:新潟県 湯沢町 平標山山麓
- 参加人数:4名
研修内容
雪山で活動する上で、寒冷障害、滑転落、雪崩が3大リスクとして挙げられます。今回は雪崩について着目し、遭遇しない為の行動と遭遇してしまった時の対応方法の確認を行いました。
雪崩に対する3種の神器として「ビーコン」「プローブ」「シャベル」が挙げられますが、これらは持ち歩くだけでは意味がなく、正しく使用出来てこそ意味を成します。
まず、ビーコンに関しては電波を正しく送受信出来なければいけません。そのためには電波干渉を考える必要があり、送信時は電子機器を含む金属類から20cm離すこと、受信時は電子機器より50cm離すことが重要です。実際に金属や電子機器を近づけることで電波干渉させ、受信距離にどのくらい影響を及ぼすか、実際の距離とビーコンの表示の変化で確認しました。

次にビーコンのアンテナの向きによる受信強度の違い、曲線を描くように発信される電波特性、概ね1秒の電波発信間隔、これらを意識しながら「シグナルサーチ」「コースサーチ」「ファインサーチ」それぞれの段階で速度と精度のバランスを確認しました。

プローブに関しては埋没位置のピンポイント特定として、組み立てるタイミング、プロービングの際の持ち方、刺し込みの深さ、角度、間隔を意識し実施しました。

シャベリングに関しては迅速な掘り出し作業と体力が必要な為、ポジションのローテーションのタイミング、各ボジションの役割、掘り出し作業のしやすい配置を確認し、実践しました。また、硬い雪の場合のシャベルの使い方も含め確認しました。

それぞれの動作を確認後、雪崩に遭遇したことを想定してグループレスキューを実践しました。ここではリーダーによる指示、チームワークが重要なポイントとなります。シナリオ終了後、振り返りを行い、良かった点、改善すべき点を話し合い個々の技術を高め合いました。
雪崩に遭わない為には事前の情報収集、当日の行動としては危険箇所通過時の把握とグループマネジメントなどが大切ですが、その他、雪の観察も大切になります。
行動中、雪の状態の変化や他の斜面で雪崩が発生していないか、ワッフ音、シューティングクラックなどが起こっていないかなど確認すべきことはたくさんありますが、今回は実際にピットを堀り、積雪層の確認と弱層の評価方法の一つ「コンプレッションテスト」を実施しました。


雪山は夏山とは違った魅力がたくさんあります。一方、雪山ならではのリスクがあることも忘れてはいけません。リスク回避の方法と有事の際に適切な行動がとれるかが重要となります。正しい知識を持って雪山を楽しんでいきましょう。