天覧山・安全管理研修

3月4日(月)~5日(火)埼玉県飯能市の天覧山で研修を行いました。

研修内容はロープワーク、フィックスロープ、ショートロープ、引き上げ(3分の1)、ロワーダウン、懸垂下降、背負い搬送。

1日目は雨天のため、室内での研修を行いました。
基本的なロープワーク(エイトノット、クローブヒッチ、ムンターヒッチ、ミュールノット、ボーラインノット)と3分の1引き上げシステム、ショートロープのセッティングなどを中心に実地。

2日目は天覧山の岩場やその周辺の傾斜地を使い実践的な研修を行いました。

懸垂下降、引き上げ(3分の1)、背負い搬送を実施。
参加人数が少なかったので、ひとつひとつ細かく検証しながら行うことが出来ました。

参加された皆さんが、とても真剣に熱心に取り組んでいただいたので、充実した研修を行えたと思います。

また、今後は簡単なバリエーションルートで読図やショートロープなど、もっと実践的に行える研修がやれたらと思っています。

担当ガイド:西方 太

信越エリアで雪の研修

2月25日、26日に妙高・黒姫エリアで研修を行いました。
25日は妙高山の外輪山のひとつ、赤倉山でバックカントリースキー研修でした。妙高エリアでも人気のバックカントリースキーで賑わう場所です。
今回は杉ノ原スキー場から入りました。ビーコンチェックから始まり、ルートファインディング、休憩箇所の選択、ペース配分など意見交換しながら先頭を交代しながら終了点まで登りました。

終了点で積雪層の状態をチェックして滑走を始めました。

日差しでザラメに変化した雪面は滑走には良い状態になり気持ちよく滑走できました。



もちろん滑走を楽しむだけではなく、安全管理技術も行いました。スキー板を支点に引き上げや雪崩捜索練習なども色々と試しながらできるのも研修だからこそです。

26日は黒姫高原にある御鹿山周辺で雪のルートガイディング技術と安全管理技術の研修です。この日はスノーシューで行いました。
ルートファインディングしながら自然解説のネタをシェア。

今日は林間の急斜面で引き上げの復習

雪の上でのツエルト設営は時間を制限して行いました。

複数埋没時の雪崩捜索練習もビーコンの機能を確認しながら行い、複数を探す時の難しさも実感しました。

最後は目的地までルートファインディング。

積雪期ならではの技術は練習できる場所も限られますが、遠方からも意欲のある参加者が揃い、みっちりと研修できました。

担当ガイド:杉本晴美

山梨地図読み研修会

12月9日甲府市北部の山で地図読み研修を行いました。

整備された登山道のないところで地形を読みながら行動すると、地形図を読む力が飛躍的にアップします。「地形図は地形を読む道具です!」傾斜がなく複雑な地形の猫坂周辺は甲府市の奥です。
まず屋内でしっかり予習したうえでフィールドに出ました。小さな尾根を登ったり下ったりしながら、古道みたけ道も歩いた地図読み山行です。深田久弥の日本百名山にこんな風に登場する猫坂です。

「金峰山は私の長い山歴の中で、ごく初期に登った山の一つである。・・・もちろんバスなど無い頃だから、歩いて昇仙峡へ行った。どんづまり御岳の金桜神社で昼弁当を食べて、さらに奥の黒平村(くろべらむら)へ向かった。それが金峰山登拝の表参道である。従って途中いろいろの名がついている。黒平へ行くまでに猫坂というのを越えた。その峠の上から金峰・朝日と続く奥秩父連山を一望に収めて、まず最初の快哉を叫んだ。」

三角点名大森1233.8m 三角点柱石の話し、三角点点の記の話し、道のない山では絶対的存在の三角点です。

猫坂の様子です。金桜神社から黒平に行く古道の峠の猫坂です。山の神の石祠と、金峰山講中登山の鳥居の礎石がたたずんでいる静かな峠です。

猫坂から黒平集落に向かう道はやぶだらけです。峠から樹間に金峰山が覗くようになると足元に馬頭観音です。

猫坂横の甲府市営林道御岳線が通っています。道路の切通によってわかりにくくなってしまった主稜線は、黒富士というピークからのつながり。

地形図を読むことによって理解できる切通しにて集合写真。お疲れさまでした!

三上 浩文 (登山ステージⅡ)

静岡フリークライミング研修会

11月18日・19日の二日間、静岡県内でフリークライミング研修を行いました。
天候不順のため日程を入れ替え、初日は岩場でクラッククライミング、二日目はインドアで東京2020オリンピックの競技内容に沿った、模擬競技を行いました。


一日目の研修、場所は伊豆城ケ崎海岸です。
城ヶ崎海岸は、4000年前の大室山の噴火で流れ出た溶岩が海岸まで達し、海などの侵食で出来上がった切り立った崖となっています。その溶岩が冷える過程等で、岩が割れた「クラック」を今回は登りました。

基本となる装具の点検、エイトノット、ビレイ方法などのチェックをします。またテーピング方法なども行います。
クライミングは間違えを起こさなければ比較的安全ですが、間違えは即重大事故につながるので、基本事項は何度もチェック・点検します。


その後クラッククライミングの実践です。
通常のクライミングでは岩の突起を手で持つ・足先で乗り込むことで登るのですが、クラッククライミングは岩の割れ目を利用し、その形に手足の形を合わせてから岩に詰め込む、ジャミングという技を使って登ります。
岩の形態は様々、複数のルートを、それに合わせたジャミングを駆使し登りました。
慣れないジャミングで大変でしたが、クライミングの違ったテクニックを知ることにより、よりクライミングの幅が広がりました。

二日目は富士市にある「サニーロック・ブルーキャニオン」、クライミングジムでの研修です。
東京2020オリンピックで追加種目に採用された「スポーツクライミング」
メディアに取り上げられる回数が増え、街にはボルダリングジムもあふれ、今俄然注目されています。

競技内容は「スピード」・「ボルダー」・「リード」の三種目を一人で行う「複合競技」となっています。
●スピードは速さを競います。
高さ15mの壁をどれだけ早く登れるか
●ボルダーは登れた数を競います。
4課題を時間内にいくつ登れるか
●リードは登った高さを競います。
12m超の高さの壁をどこまで登れるか


これらの競技を、参加者のレベルに合わせた方法で行いました(リードはトップロープで)
実際に模擬競技を行うことで、選手がいかに凄い事を行っているのか実感できました。
特にスピードは登るだけでも大変で、選手のタイムがあまりにも早いことに気付き、みな驚きの連続でした。

模擬競技を通し、皆が一つの目的でクライミングを行うことで、クライミングの楽しさ・面白さを再発見できたようです。

富永 浩司(フリークライミング インストラクター)

八ヶ岳・北横岳研修

10月30日に北横岳周辺で研修を行ないました。
テーマは「地形・地質・自然史に目を向けたガイドツアーを考える」
長野県環境保全研究所の富樫研究員に講師をお願いして坪庭から
北横岳のルートを解説していただきながら歩きました。

ロープウェイで一気に2237mに行ける手軽な散策コースである坪庭は、
約2300年前に噴出されたとされる新しい溶岩でできた台地。
その溶岩流の末端で厚みを実感しました。

粘り気の強い溶岩は外側が固まり、中身はドロドロという状態で形を
崩しながら流れた溶岩を観察し、どこから流れてきたのか確認。

古い火山岩と新しい火山岩の上の植生の違いを感じながら縞枯れ現象を
間近に見ました。

北横岳ヒュッテ近くにある七ツ池は火口跡。

強風の山頂は霧氷で芸術的な自然美となっていました。
山頂では八ヶ岳の火山の歴史をお話しいただき、北横岳は活火山である
と認識しました。

八ヶ岳の魅力を改めて認識できた研修となりました。

ロープウェイで身近に見られる新しい溶岩台地や展望の北横岳への
ガイドのご依頼はぜひ当会ガイドにお声掛け下さい。
楽しく安全にご案内させていただきます。

杉本 晴美 (登山ステージⅡ、自然ステージⅡ、スキーガイドステージⅠ)

埼玉県神川・植物の自然解説研修

自然ガイドの北村です。
9月19日、埼玉県の神川エリアで
「植物の自然解説研修」を行いました。

植物といっても、今回はどこにでも生えている“道草(雑草)”がテーマです。

普段、何気なく生えている道草たちですが、
その背景には、どこにでも生えるための戦略や人々と関わってきた遊びや歴史があります。
今回の研修では、そんな身近な植物を通して、自然の魅力をお客様に伝える技術をブラッシュアップすることを目的としました。

午前中は室内で「危険な植物」や「図鑑」についてなど基本的なことの確認です。

「危険な植物」では、毒やトゲなど直接的な危険だけでなく、“どんな植物に危険生物が寄ってくるのか”や“この植物があるとどんな環境なのか”など間接的にわかる危険も話し合いました。

午後は外に出て、実際に植物観察をしながらその植物の特徴を知ったり、遊びを実体験するなどフィールドワークを行いました。

研修の参加メンバーはいろんな地方から来ているので、自分のフィールドとの違いを実感したり、情報交換により新たな発見が得られたりそれぞれ充実した時間を過ごしていた様子でした。


見慣れた道も改めて図鑑を片手に歩いてみると、思わぬ発見や喜びに出会うかもしれません。
ぜひみなさんも、身近なところにある自然を楽しんでみてください。

自然ガイド 北村春夏

霧ヶ峰・観音沢研修

登山ガイドにとって、その評価が決め手となるほど重要な解説技術。今回は、深田久弥の日本百名山で、遊ぶ山の代表とされる霧ヶ峰の最も美しいコース・観音沢で開催。

初日は、生憎の雨模様。そこで、事前学習として尖石考古館・諏訪大社下社・万治の石仏・神長官守矢氏資料館などを訪ねる。尖石考古館では、霧ヶ峰の歴史の始まる頃のこと、黒曜石に因む事柄を学ぶ。
縄文時代の人々の石器を中心にした生活、2体の国宝の土偶や石棒に見る精神世界、茅葺の家に通じる竪穴式住居。そして、観音沢で何百年も続けてきた下社の御柱の伐り出し。諏訪大社の大祝諏訪氏と神長官守矢氏の関係や守矢氏の祀るミシャクジ様と御頭祭。全てが、明日歩く観音沢と関係しています。

 宿は、霧ヶ峰の歴史には欠くことが出来ない重要な山小屋ヒュッテジャヴェルです。尾崎喜八がフランス人登山家エミールジャヴェルに因み名付けたと言う歴史ある山小屋です。その物語を知ることもガイドの知識欲を満たします。食堂には、先代高橋達郎氏の文の師であった尾崎喜八直筆の美しい詩文や画の師であった熊谷守一の絵が飾られています。

 明くる日は、予報通りに雨は上がり、登山口大平から歩きはじめます。美しい落葉広葉樹の森を抜けて行きます。ミツデカエデ・アサノハカエデなど多くのカエデ科や大きなカツラ、トチノキ、ケヤキが見られます。上流域では、御柱になりそうなモミやミズナラ、ブナも見られます。

途中、ショウキランの群落に出会いました。数年前までは、この付近に多くのシロバナショウキランも自生していましたが、重機が入ってしまい全滅。以後は見ていません。シロバナショウキランは、今井先生の発見された霧ヶ峰の固有種です。このシロバナショウキランもそうですが、このコースにはチョウセンミネバリやブナなど霧ヶ峰では他に見られない貴重な植物が見られます。

 途中にある屏風岩の千手観音や右股にある千手観音菩薩と彫られた石など史跡もあります。旧御射山社の桟敷跡やかわらけ・黒曜石などにも歴史を感じます。

 まさにガイドの解説する要素が盛りだくさんです。このコースを歩き、新人のガイドさんには多くの事を学んでいただきました。ベテランガイドさんにも、改めてこのコースの素晴らしさを感じて頂けたことと思います。
 ただ、いくつかの問題点にも気づかさました。前回も多く見られましたが、チョウセンシマリスが繁殖しています。数年前までは、この辺りにはニホンリスもいましたが最近は見かけません。チョウセンシマリスも可愛いのですが、外来種です。困ったものです。

 この観音沢コースは、私はガイドを始めた頃に見つけ出したコースですが、他の登山者に出会う事がない静かな素晴らしいコースです。歴史や植生も素晴らしく、まさにガイドと共に歩いてこそ価値あるコースだと思います。しかし、一般の不慣れな登山者にはリスクが高いコースであることも事実です。途中、屏風岩が下流側の崩落に続き、上流側が崩落していました。壁中央部に安置されている千手観音は無事ですが、この付近は非常に危険です。くれぐれも崩落した岩の上を歩くとか、岩壁の下に入るようなまねはしないでください。
また、渡渉も何か所ありますので丸木橋での転倒にも注意が必要です。上部の細い急な箇所でも転落に注意が必要です。

このコースを歩いてみたいと思われた方は、ぜひ当会のガイドにご依頼下さい。
安全に楽しくエスコートさせて頂きます。
最適期は、この6月と10月の紅葉期です。

上野 真一郎 (自然ステージⅡ・山岳ステージⅠ)

丹沢ジオサイト研修

5月1日(火)神奈川県の丹沢エリアにて「丹沢ジオサイト研修」を実施しました。
丹沢が火山島だったという自然遺産の証拠探し・「枕状溶岩」のサイトを紹介することが目的。
午前中は西丹沢南沢にある自然遺産が同化して山地となった枕状溶岩や火山岩である流紋岩(ガーネット入り)サイトを巡検。

午後は「生命の星・地球博物館」の外来研修員である門田先生の講演と小菅沢の枕状溶岩サイトを巡検案内していただきました。
NHKジオジャパンでお馴染みになりました「枕状溶岩」と門田先生が発見しましたアオサンゴ化石、オウムガイ(アツリア化石)のことも含め、先生から野外講演の形で直に説明を受け、サイト案内をして頂きました。

「丹沢にも、ジオサイトがあるの?」という事が一般的に普通な丹沢山地での登山者コメントだと思います。
参加者の数人の方は、丹沢が南からの火山島・付加体ということを知らない方が数人、参加者の丹沢認識を一新していただけたようで、ジオ研修の甲斐があったと思っています。
伊豆に負けないジオ丹沢の大地だと私は思っています。
今回はサイト紹介で登山が伴わないサイト見学研修でしたが、楽しんでいただけたら幸いです。

登山&自然ガイド  里見 豊

危急時対応技能研修

SMNGAで年間のガイド研修企画を担当している杉本です。
当会ではほぼ月1回、危急時対応技術、古道・ジオツアー、
自然解説技術、クライミング、安全管理技術、積雪期解説、
積雪期安全管理など様々な内容の研修を企画実施しています。

自然ガイド、登山ガイド、山岳ガイド、クライミングインストラクター
が集う当会ならではの研修内容となっています。

総会翌日に新年度一つ目の研修は「危急時対応技術」
研修に参加会員のリクエストで内容を進めました。

登山中に発生する「靴底が剥がれる」いうトラブルへの対処法を
各自の持ち物で検証。
ゴムチューブで固定

三角巾の使用法や登山中にあり得る怪我や症状への対応を確認。
手首の骨折の固定

足首の捻挫にテーピング

低体温症への対処

ロープやスリングを使ったハーネスやザック搬送のバリエーションを
参加者でシェア。
スリングを使ったハーネス

ザック搬送

斜面で引上げ

ガイド中は十分に安全管理に配慮していますが、突然のトラブルに
対応できるよう研修しています。

NPO法人静岡山岳自然ガイド協会・総会

今年度より広報を担当することになったNPO法人静岡山岳自然ガイド協会(以下SMNGA)成相と申します。
このブログでは、SMNGAでのガイド研修報告や活動について紹介していきたいと思っております。

4月23日(月)2018年度の総会が長野県小諸市にある安藤百福記念自然体験指導者育成センターにて実施されました。

20名の出席者が集まり、新年度の活動について話し合いが行われました。
SMNGAでは、静岡に限らず全国で活動するプロガイド集団です。
総会では、昨年度のふりかえりから、新年度の活動についてなど有意義な話し合いが行われました。

明日はSMNGA内での研修が予定されています。私たちが普段どんなことをしているのかまたブログにて紹介していければと思っています。