20230521自然解説スキルアップ研修

2023年5月21日に「自然解説スキルアップ研修」を実施しました。その時の内容となります。

研修の概要

  • 研修の目的:ガイディングに不可欠な伝える技術(自然解説)を特に山頂を目指さ  ず山を楽しむ観点で実施した。また、昨今注目されているSDGsを意識し、今回の研修と合致するようなゴミ拾い(清掃活動)をしながらの研修とした。
  • 実施日:2023年5月21日
  • 場所:富士山麓(三湖台周辺地形)
  • 参加人数:7人

研修の詳細

5月21日(日)に「自然解説スキルアップ研修」を富士山北麓で実施しました。研修のサブテーマは、ガイドツアーとSDGs

ネイチャーゲームを通じて自然に触れあいます

山の豊かさを守る」をテーマに、ガイドとして何ができるかを共有し、フィールドのゴミ拾いで実践しました。

木の気持ちに成りきります!

楽しさ”をお客様に提供する上で何がポイントなのかをアイスブレイクゲームやネイチャーゲームなども盛り込んで、よりお客様に興味(自然解説)を持っていただく術を学びました。これからは「よりサービス性の高い案内」が求められるなかとても内容の濃い研修でした。

あるガイドによって二刀流と名付けられた木

5月12・13日 春の上高地「自然解説研修会」

5月中旬上高地は春まっさかり。高山の残雪はだんだん減り、間もなく夏山シーズンを迎えます。

春真っ盛りの上高地

今年の上高地の雪解けは早く、よく探すとカラマツ林の日蔭に少しだけ残雪を残すのみ。

夏の登山シーズン真っ盛りになると、上高地ターミナルでバスを降り、涸沢、槍・穂高をまっしぐらに目指し、上高地はただ通るだけという登山者は多いです。

ガイドの中でも、『横尾から先が本番なので、そこからはお客様にいろいろ話すのですが、上高地は通りすぎるだけなのであんまり説明するものがないんだよ』という者は正直多いと感じています。

約10㎞、見るべきポイントはいっぱいあります

今回はそんな上高地の見どころを、ガイド同士で見つけ合う研修を行いました。

河童橋で、ひとり物思いにふけるサル吉君
上高地の基部を構成するジュラ紀の地層

上高地には日本列島がまだ大陸とくっついていた時代の地層から、槍穂高超火山がカルデラ噴火した際の溶結凝灰岩層、世界一若い花崗岩とされる滝谷花崗閃緑岩など、いろいろな地層が見られます

ガイド同士、意見を交わします

ガイドは人が暮らした歴史、動物、植物、気候、風土など、様々な情報をインプットして、上高地をお客様にご案内します
これからの季節、いつもとは一味違う目線で上高地を楽しんでみてはいかがでしょうか。

備えあれば患いなし「危急時対応技術研修会」

2023年4月8日

静岡山岳自然ガイド協会では夏山シーズン前に、事故に対する備えとして、危急時対応技術と応急手当を毎年研修しています。

滑落した人を引き上げる訓練
滑落した人を引き上げる訓練


事故について学ぶこと、事故に遭遇した際に対応できる技術、それらは錆びないように毎年訓練することが肝要です。

山中で倒れている登山者を発見した時の初期対応訓練の様子
山中で倒れている登山者を発見した時の初期対応訓練の様子


学び続けることによって、山岳事故を極限まで減らすガイド山行ができると考えています。
それでも遭遇する確率があるのが遭難事故。自分のパーティーで起こさなくても、山中で遭難事故に遭遇する可能性は常にあります。

外傷や骨折などへの応急手当の研修
外傷や骨折などへの応急手当の研修

信頼されるガイドを目指して、私たちは常に学び続けます。

バックカントリースキー研修会

北信越の山々はバックカントリー(BC)スキーエリアとしても人気があります。
今回は3月3日に妙高赤倉山でBCスキー研修を行いました。

前日雨から雪に変わり、当日は新雪が積もり濃いガスの中で始まりました。
楽に登れるようなルート取りを考え交代しながら登り、途中で積雪断面観察とコンプレッションテストをして登り滑りで留意することを全員で確認。

登るにつれてガスが薄れ、青空も出て素晴らしい雲海と周りの山々を見ることができました。

雪質の変化を注意しながら滑走、途中で引き上げや雪崩埋没者捜索練習なども行い、時間いっぱい使った研修となりました。

担当ガイド:杉本晴美

ガイド再開に向けて

はじめに、新型コロナウイルスにより罹患された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

今回の世界的新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延により、社会構造、経済が大きく変化し、それに対応する新しい生活様式の確立が必要になりました。今後、登山も新しい視点からの活動指針が必要となると思われます。

勿論ガイドの仕事の第一の目的は、事故防止、お客様の安全を最優先に山を案内するということにあります。今日まで山の事故の多くの原因、道迷いや転倒・滑落・転落を防ぐためにガイドは最大限の努力をして参りました。そして、これからは「感染予防」という観点からも配慮が必要とされる状況になると考えております。

現在、NPO静岡山岳自然ガイド協会では、所属する公益社団法人日本山岳ガイド協会・コロナ対策プロジェクトチームによる「新型コロナウィルス感染症対策のための業務再開ガイドライン」に則り、各ガイドがお客様を安全に山をご案内できるよう準備をしているところです。その一部をご紹介します。(※ブログ内容へ)

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※本ブログの集まりはNPO静岡山岳自然ガイド協会の公式研修会ではなく、同ガイド協会所属ガイドによる独自の集まりです。お客様へ安全な登山をご案内するためにガイド自身が独自に準備をしている前向きな活動です。

新型コロナの自粛解除も段階的に行われてきている現在、どうもどこの小屋が閉鎖とか登山バスが運休とか暗いニュースに一喜一憂していることが多いと感じ、このままコロナに圧倒されているだけでなく、少しでも前向きになれるように甲府盆地に住むガイド仲間で集まりました。

それぞれの登山ガイドが業務再開に向けての準備状況と、どうコロナと付き合って登山をして行くかという内容の情報交換。場所は韮崎市の甘利山。
この時期おすすめの素晴らしいコースを歩いてきました。
山の中は全く問題がないとして(ソーシャルディスタンスという問題はありますが)、やはりお客様と合流時のチェックから話し合いました。

・なるべく現地集合解散。
・リハビリ登山という表現が出た(久しく登ってないのでレベルを落とすという意味)
・過去2週間の体調チェックと当日の検温
・様々な消毒剤(山の中での手洗いは難しい)
・パルスオキシメーター(隠れた肺炎の発見、富士登山の時などにも使う)などなど

        
写真左から収納バッグ、除菌スプレー、アルコール除菌液、体温計、非接触型体温計、パルスオキシメーター、ゴム手袋。

   
非接触型体温計はおでこ以外でも計測出来ます。

  
アルコールアレルギーがある人にはこんな除菌スプレーもあるんですね。


マスクも様々です。

  
登山道が通れるようになって掲示された山梨県の注意喚起の案内

  
ガイドの話だけでは余りに色がない為、花の写真を少し。情報交換の途中に見かけたササバギンラン。

  
このあたりでは珍しいヤマブキソウ。


朝の合流時のチェック以外の話題の中心は、やはりマスク問題。


意識しているときは離れていても、ピンポイントの話題の時は思わず距離感を忘れてしまいがちになります。地形図の変化を確認している写真。よほど意識していないとソーシャルディスタンスは守れないということが良くわかります。加えて行動中のマスクはかなり無理だろうということで意見は一致。

  
クリンソウが咲き乱れる大笹池。イワナのジャンプとそれを狙うトンビに見とれました。

 
レンゲツツジが咲きはじめた甘利山


宿泊の山小屋も今までとは違います。宿泊を伴う山行では、個人装備に寝袋とマットが加わるかもしれません。だとしたら一人一張りのテントをガイドが準備すれば山行の自由度は上がるかも?ということで軽量テントを3人分張って、雨予防のタープを張ってみるということもやってみました。


540gの超軽量テントです。
ガイドも新しいコロナと付き合いながらの山登りの準備をしています。
山に行きましょう!

静岡山岳自然ガイド協会
三上 浩文

積雪期ルートガイディング安全管理研修会

2019年度 研修 積雪期ルートガイディング/安全管理技術研修(1/17)

積雪期のルートガイディング及び安全管理技術(アイゼン歩行、ピッケルの使い方)の講習会を富士山の麓で実施しました。
目的はこれから積雪期のガイドを目指すためのスキルアップ、技術の確認などです。今冬はどこの山域でも雪不足で、やや雪の量に関しては不満でしたが、和気あいあいの雰囲気のなか、無事に終了しました。

当日のお天気は曇天から降雨か降雪かもしれない微妙なお天気でした。実は研修はこの時点で始まっており、天気によって装備をどのように準備するのか、お客様にどう配慮するのか。積雪期には多くの思考が必要です。幸い現地に到着してみるとなんと富士山が顔を出してくれました。


歩き出しは横移動の樹林帯です。一見歩き易そうですが、積雪期にはルートを見誤る可能性が
あるので慎重にルートファインディングをしていきます。自然解説も無積雪期に比べると格段に自然素材が少なくなるので、経験と知識がさらに必要になってきます。このため、一番目立つ針葉樹にスポットを当て、見分ける術を共有しました。基本はよく観察(違いを見極める)するのが見分けのポイントです。

ちくわのような空洞のある不思議な倒木。


ピッケルを使った登降や滑落停止のトレーニングです。


積雪期におけるガイディングは、何よりも体力が必要です。アイゼン、ピッケルなどを利用して歩くことは、無積雪期に比べてはるかに体力を消耗します。登山靴も重く、斜面のトラバース、直登、ジグザグに登降するなど安全に行える技術が求められます。この技術は自分が出来るということではなく、安全に顧客を案内出来る技術でもあります。そのためには、常にトレーニングと学習が必要です。
今回は特に学び多き研修でした。

担当ガイド:大嶽和彦(おおたけ かずひこ)

2019年度主催事業「地図読み」講習会②

静岡山岳自然ガイド協会×ホールアース自然学校(富士宮市)がコラボ企画し、地図読み講習会を12月7日(土)に開催しました。

今回の講師は、当協会ガイドの三上氏。
「やぶ山をこよなく愛する登山ガイド」 三ちゃんの愛称で親しまれています。


地図読み講習会のスタートは机上講習から始まります。 地図読みのコツを三ちゃんから教わります。「尾根のとなりに尾根はない」「沢のとなりに沢はない」地図読みは、「現在地」「先読み」「振り返り」が大事なんです。三ちゃんの資料には、地図読みの極意が記してあります。

地形図を読みながらいよいよ現場実習の始まりです。最初は足がでませんが、だんだん慣れてくるとみな自主的に山の中へ踏み込んでいきます。現在位置の確認をして、進行方向を見定めます。今まで歩いてきた地形と地形図の検証を行い、次の目的地までの標高差や地形、距離などを見極めていきます。

饅頭峠の三角点。みたけ道のルートのひとつでもあります。三角点で東西南北も確認できます。

饅頭峠とは面白い名前です。昔甲斐の国を訪れた弘法大師が峠の茶屋の老婆に饅頭を所望したところ老婆は「これは石だから食べられないよ」と偽った。大師が立ち去った後、ふと石ころをみるとみんな石ころに変わっていたという民話があるそうです。今では、饅頭石もなかなか見つかりません。

地図は「見る」ものではなくて、「読む」ものだと言われています。地図読みは「先き」読み。未来を予測することです。地図が読めるようになると、登山はもっと楽しくなり、地図読みは山登りの新しい世界を広げてくれます!!

読図は大切な登山技術の一つです。しっかり身につけましょう。(三ちゃん)

担当ガイド:大嶽和彦(おおたけ かずひこ)

2019年度主催事業「地図読み講習会」

2019年度主催事業 「地図読み」講習会(11/27)

静岡山岳自然ガイド協会×ホールアース自然学校(富士宮市)がコラボ企画し、地図読み講習会を11月27日(水)に開催しました。
今回の講師は、当協会ガイドの三上氏。「やぶ山をこよなく愛する登山ガイド」三ちゃんの愛称で親しまれています。

地図読み講習会のスタートは机上講習から始まります。 地図読みのコツを三ちゃんから教わります。「尾根のとなりに尾根はない」「沢のとなりに沢はない」!地図読みは、「現在地」「先読み」「振り返り」が大事なんです。

地形図を読みながらいよいよ現場実習の始まりです。最初は足がでませんが、だんだん慣れてくるとみな自主的に山の中へ踏み込んでいきます。

饅頭峠の三角点。みたけ道のルートのひとつでもあります。

饅頭峠とは面白い名前です。昔甲斐の国を訪れた弘法大師が峠の茶屋の老婆に饅頭を所望したところ老婆は「これは石だから食べられないよ」と偽った。大師が立ち去った後、ふと石ころをみるとみんな石ころに変わっていたという民話があるそうです。

地図は「見る」ものではなくて、「読む」ものだと言われています。地図読みは「先き」読み。未来を予測することです。地図が読めるようになると、登山はもっと楽しくなり、地図読みは山登りの新しい世界を広げてくれます!!
地図読みは登山の基本です。皆様には、是非身に着けて頂きたいスキルのひとつです。

担当ガイド:大嶽和彦(おおたけ かずひこ)

城ケ崎フリークライミング研修

11月23日(土)伊豆城ケ崎でフリークライミング研修を行いました。

「フリークライミングとは?」
自らの手足を使い道具に頼らない岩登りのことを言います。
(クライミングシューズはOKです)
但し、墜落したら落下を止めなければ命がいくつあっても足りません。
なのでそのような時に備え、ロープやプロテクションを使用します。
フリークライミングの定義として、地面から終了点(そのルートの最後)まで一度もロープなどにテンションをかけずに登れたら完登とみなされます。途中でロープに体重かけたらそれは墜落(登れなかった)したと同じになります。

まずはプロテクションの勉強です。
岩場にはアンカーボルトが設置してあります。アンカーボルトにはいろいろな種類がありその特徴や危険性を学びました(今回の岩場にはないので模型で)


本日登る城ヶ崎の岩場は大室山の噴火により流れ出した溶岩が冷えて割れてできたクラックを登るクライミングです。


ここにアンカーボルトは無く、プロテクションはカムと言う道具を使い自分で設置していきます。(画像の岩は城ヶ崎とは関係ありません)


また登り方もジャミングと言うテクニックを使い登ります。
手の甲が痛くなるのでテーピングをします。
これにもいくつかの方法があり、そのうちの一つを学びました。
利き手で反対の手は比較的やりやすいのですが、逆は大変、みなさんテープにもて遊ばれてました。


今回はトップロープでのクライミング。
これは予めロープを設置し墜ちてもロープにぶら下がるだけの比較的安全な登り方です。
また自己流になりがちなビレイ(登る人が落ちた時や終了点から降りるときにロープをコントロールする役目)の正しい方法を学びます。


生憎の天気で雨が降り出しました。
なので岩の下に退避、ここの岩場にはないのですが、他の岩場でよく目にする終了点での安全な結び変え方法を学びます。


何度も反復するうちに登りもビレイも慣れてきて、岩と一体化し皆一様に楽しそうです。
「安全に楽しくクライミング」
安全管理は手抜きなく、登りは楽しく、クライミングは登り切った時の爽快感が格別ですよ。


海外ではクライミングはレジャーの一環です。
興味のある方、日本人は真面目なので何でもできないとダメみたいな風潮がありますが、最低限の安全は学び、あとはプロにお任せ、あまり難しく考えず楽しく登ると言いうのも一つの手です。


晴れたらこのような景色が待っています!


「楽しく登りましょう!」

フリークライミング・インストラクター 富永浩司

2019年度主催事業「ゆるり登山~山伏~」

11月21日(水)に2019年度の主催事業である「ゆるり登山~山伏~」を実施しました。

曇り予報のなか気温は低めでしたが、小春日和の気持ちよさを感じながらの登山でした。
今回は、大きな目的を持っての主催でした。第一に静岡山岳自然ガイド協会の存在と取り組みを知ってもらうこと。
第二に自然観察・解説をたくさん取り入れること。第三に自然環境に配慮(ゴミ拾いを実施)することでした。
冬枯れの山には何も無いイメージですが、実は宝物がいっぱいあります。その反面ゴミも沢山ありました。参加していただいた皆様は、それぞれの感性でツアーを楽しんでいました。

今回の講師は唐橋ガイド、ヨガの先生でもあります。さすが、オーラが輝いています!

冬枯れと青空は気持ちがいいですね。所々自然解説を交えながら。


圧倒的な南アルプスの存在感。クマあしの南アルプス、熱弁トークタイム
ココロはすでに夏山気分!

百名山7座+200、300名山も。

雲に隠れていた待望の富士山も顔を出してくれました。参加者のテンションもMAX!


ミッションであったゴミ拾いも実施です。レトロなゴミが多かったかな。


苔観察タイム。山伏でも苔、楽しめます!

静岡山岳自然ガイド協会では、安全で楽しい登山活動と自然体験活動の普及発展事業を行っていますので、是非、ご参加いただければと存じます。
個性豊かなガイドが皆様をお待ちしております。

担当ガイド:大嶽和彦(おおたけ かずひこ)