アイゼンワーク研修

研修の概要

  • 研修の目的:
    アイゼンワーク
  • 開催日時:2024年1月14日(日)
  • 場所:北八ヶ岳河原木場沢
  • 参加人数:8名

研修内容

雪山で必ず登場する登山用具のアイゼン、アイスクライミング用のモノポイントのアイゼンからアプローチのチェーンスパイクまで様々なタイプがあります。また残雪期に登場する6本爪などは、冬季限定でもないアイゼンです。ただそれぞれで違いがあるわけではなく、基本は歩きです。今回の研修は雪山でベーシックな前爪がある10~12本爪のアイゼンを使っての内容です。アイゼンワークで誤魔化せない氷の上での研修です。

八ヶ岳。ようやくこの時期らしい雪の景色になりました。


前夜の降雪でかなり厳しめのアプローチの路面状況でした。

まずは林道を歩いてフラットフッティングの確認

フラットフッティングは地面に靴底全部を着地させる歩き方で、雪山でも夏山でも歩きの基本です。林道の傾斜を利用して参加者全員で歩きました。どんな姿勢でフラットに足を置くのか、体重移動をどう心掛けるのかなど、どういう言葉でお客様に伝えるかということを意見交換しました。

ピッケルを使って登ります。

アイゼンを装着してまずはフラットフッティングです。氷と草付きのミックスした不整地を登ったり下ったり。アックス一本を杖のように使ったり、傾斜のある面ではピックを刺して支持を得たりしました。傾斜50度くらいまで頑張ってフラットフッティングをしてもらい、どのくらいフラットで行けるかを確認してもらいました。普通にフラットで歩いて、傾斜が増すと両足を広げてアヒルみたいな歩き方になり、さらに傾斜が増すとつま先は下を向きます。

フロントポイントの様子

アイゼンの使い方はフラットかフロントポイントのどちらかだけです。フロントポインティングの方がフラットフッティングより習得するのは容易です。ただすぐにふくらはぎの筋肉が疲れてしまいます。フラットの技術を上げて、氷なり岩なりに使える技術の幅を広げていきたいものです。

氷の壁を登ります

究極のフロントポインティングということで、10mくらいの氷にトップロープで登りました。縦走用のアックスもシャフトがベントしていたり、ピックのアールが角度付いていたりで様々ですが、いろんなアックスで登ることによってピックの刺さり具合の違いも確認できました。

寒い中、お疲れ様でした。

醬油樽の滝まで散歩して集合写真を撮りました

腕がらみで下りました

研修が終わって撤収も無駄には出来ません。シンプルな腕がらみ懸垂で締めでした。

気象講座 気象解析に基づく行動判断

研修の概要

  • 研修の目的:
    地上天気図や高層天気図などの気象情報を活用して山行期間にわたる気象変化をとらえ、天候の悪化を事前に予測・回避する客観的な手法を習得する。
  • 開催日時:2023年10月14日(土)〜15日(日)
  • 場所:八ヶ岳自然文化園 研修室
  • 参加人数:26名(延べ)

研修内容

私たち山のガイドはお客さまに山を楽しんでいただくお手伝いをするのが務めですが、その前提になるのが「安全」です。天気の良い日の登山は楽しいものですが、ときに気象が脅威となることがあります(写真1)。

(写真1) 風雨の強い日の登山は注意

今回は気象予報士でもあるガイドが講師となり、2日間にわたって天気図の読み取りとそれに基づいた行動計画の作成、山行の判断とお客さまへの伝え方についてじっくりと研鑽を積みました。

研修は講義、実習、グループディスカッションの形式で行われました(写真2)(写真3)。ガイド研修は山域で行うのが通常ですが、本研修は八ヶ岳の自然豊かな環境の施設内での開催となりました。

(写真2)講義の模様
(写真3)実習に熱が入ります

参加したガイドからは「明日からの山行に反映させたい」という熱意が感じられ、講師をたじたじ状態にするほど質の高い質問が飛び交いました。

過去の気象遭難の事例を研究すると、天気図の解析が不十分であったり、自己の経験に基づいた主観的な判断が主たる原因のようです。一方、最近は多くの気象情報が入手可能となりましたが、それを効率よく使いこなす技術は利用者に委ねられています

このような状況を踏まえ、本研修は安全性を判断するのに必要十分な天気図の種別と解析手法を明らかにし、それをもとに作成する「山岳気象シナリオ」という行動計画表は、誰が見ても同じ判断ができるような工夫がされていました(図1)。

(図1)山岳気象シナリオの例(ぼかしが入っています)

2日目の午後はケーススタディの演習でした。過去の天気データを各自で解析してシナリオを作成、目的の山行が危険な場合は代替ルートを検討してお客さまにご説明するという一連のフローを確認しました。

これからガイドは自分の活動する山域や職能に応じて各自で落とし込みを行い、みなさまの頼りになるパートナーとして活動してまいります

研鑽を積むガイドたちを八ヶ岳がやさしく見守ってくれていました(写真4)。

(写真4)まるやち湖から見た八ヶ岳