タグ: 静岡山岳自然ガイド協会
読図研修
研修の概要
- 研修の目的:
地形図や周りの景色を見ながら現在地を確認する。事前に設定したポイントを見分ける - 開催日時:2024年4月14日(日)
- 場所:伊東アルプス
- 参加人数:4名
研修内容
静岡県伊東市にある大平山周辺にて会員4名で地図読み研修を行いました。 3月に実施の予定でしたが、天候の関係で今回の日程に変更となりました。地形図や周りの景色をよく見ながら現在地を把握する、事前に設定したポイントを見分ける、どうしてそこがポイントと思ったのか意見交換しながら16時までしっかり歩きました。
アブラチャンやしゃくなげなどの花も咲いており、自然観察も行いながらの研修となりました。普段から地形図をよく見て歩くことの重要性、一朝一夕にはいかない地図読みの難しさを改めて感じる研修となりました。
積雪期安全管理技術&ルートガイディング
研修の概要
- 研修の目的:
積雪期に必要な安全管理技術(雪崩捜索救助、引き上げ、シート搬送)と読図を中心にしたルートガイディングを実施して、積雪期に不慣れな人は経験を積むこと、慣れている人には復習することを目的に進めました。 - 開催日時:2024年2月4日(日)9:00 〜16:00 安全管理技術
2月5日(月)8:50〜14:30 読図を中心にしたルートガイディング - 場所:2月4日 黒姫高原スノーパーク隣接の森
2月5日 袴岳周辺 - 参加人数:2月4日 8名
2月5日 6名
研修内容
雪深いエリアで行う積雪期研修は雪を大いに利用した内容になっています。
初日はビーコンの使い方から始まり、雪崩捜索救助のチームレスキューまで回数を重ねながら身につけていきました。
次に雪の中に物を埋めて支点を作り引き上げ練習、厚手のグローブでのロープワークは普段よりも難易度が上がりますが、改めて確認ができたようです。
最後はレスキューシートを使ってのシート搬送で下山。チームワークが必要ですが無事搬送終了できました。それぞれ人数がいてこそできる内容で充実した研修になりました。
2日目は場所を変えて、こちらも積雪期でないと歩けない場所をめぐる読図を主に時おり自然解説を交えて行いました。少雪とはいえスノーシューでは十分に歩き回れる雪の量で、地形のポイントを探して、 自由に動き回りました。もちろんポイント間のルート取りも重要で安全に移動して、いくつもの周りの地形を確認してポイントを絞る作業は難しいところもありますが、どれも大切な技術です。また途中で動物の足跡、野鳥の巣や蛾の繭、冬芽などを見つけたり観察しながらの行動でした。この日は午後にかけて降雪が続き雪国らしさを実感した研修になりました。
自然解説研修
研修の概要
- 研修の目的:
ガイディングに不可欠な伝える技術(自然解説)を山頂を目指さしな がら自然を楽しむ視点で実施しました。 - 開催日時:2024年1月28日(日)
- 場所:富士山西麓(長者が岳)
- 参加人数:6名
研修内容
1月28日(日)に「自然解説研修」を富士山西麓で実施しました。研修のテーマは、“楽しさ”をどう伝えるか。お客様に提供する上で何がポイントなのかをアイスブレイクゲームやネイチャーゲームなども盛り込んで研修のスタートです。
結び
今回の研修は、よりお客様に興味(自然解説)を持っていただく術を学びました。これからは「よりサービス性の高い案内」が求められるなか、とても野鳥や気象に詳しい仲間が参加してくれたこともありとても内容の濃い研修でした。
アイゼンワーク研修
研修の概要
- 研修の目的:
アイゼンワーク - 開催日時:2024年1月14日(日)
- 場所:北八ヶ岳河原木場沢
- 参加人数:8名
研修内容
雪山で必ず登場する登山用具のアイゼン、アイスクライミング用のモノポイントのアイゼンからアプローチのチェーンスパイクまで様々なタイプがあります。また残雪期に登場する6本爪などは、冬季限定でもないアイゼンです。ただそれぞれで違いがあるわけではなく、基本は歩きです。今回の研修は雪山でベーシックな前爪がある10~12本爪のアイゼンを使っての内容です。アイゼンワークで誤魔化せない氷の上での研修です。
前夜の降雪でかなり厳しめのアプローチの路面状況でした。
フラットフッティングは地面に靴底全部を着地させる歩き方で、雪山でも夏山でも歩きの基本です。林道の傾斜を利用して参加者全員で歩きました。どんな姿勢でフラットに足を置くのか、体重移動をどう心掛けるのかなど、どういう言葉でお客様に伝えるかということを意見交換しました。
アイゼンを装着してまずはフラットフッティングです。氷と草付きのミックスした不整地を登ったり下ったり。アックス一本を杖のように使ったり、傾斜のある面ではピックを刺して支持を得たりしました。傾斜50度くらいまで頑張ってフラットフッティングをしてもらい、どのくらいフラットで行けるかを確認してもらいました。普通にフラットで歩いて、傾斜が増すと両足を広げてアヒルみたいな歩き方になり、さらに傾斜が増すとつま先は下を向きます。
アイゼンの使い方はフラットかフロントポイントのどちらかだけです。フロントポインティングの方がフラットフッティングより習得するのは容易です。ただすぐにふくらはぎの筋肉が疲れてしまいます。フラットの技術を上げて、氷なり岩なりに使える技術の幅を広げていきたいものです。
究極のフロントポインティングということで、10mくらいの氷にトップロープで登りました。縦走用のアックスもシャフトがベントしていたり、ピックのアールが角度付いていたりで様々ですが、いろんなアックスで登ることによってピックの刺さり具合の違いも確認できました。
醬油樽の滝まで散歩して集合写真を撮りました
研修が終わって撤収も無駄には出来ません。シンプルな腕がらみ懸垂で締めでした。
冬の植物観察を通して、わからない植物を調べる技術と解説知識を身につける
研修の概要
- 研修の目的:
冬の植物観察を通して、わからない植物を調べる技術と解説知識を身につける - 開催日時:2023年12月14日(木)
- 場所:静岡県田貫湖周辺
- 参加人数:9名
研修内容
今回は「冬の植物観察」をテーマに研修を行いました。
ガイドは、お客様に自然の魅力をお伝えするスキルも必要です。
しかし、まず何の種類なのかガイド自身がわからなければ、知識をつけても使えません。
そこで今回は、図鑑を使って植物を調べるトレーニングを丁寧に行いました。
植物を調べるには大きく分けて2つのスキルが必要だと思います。
- 特徴を見分ける目のトレーニング
- 図鑑を使いこなすスキル
まずは、参加者同士の交流もかねて、葉っぱを使ったレクリエーション。
「お題」(どっちが大きい?など)に従って、拾った葉っぱの特徴を比べて遊びました。
今度は使った葉っぱを種類ごとに分けて観察していきます。
だんだんと目が慣れてきて、それぞれの葉の特徴や違いがわかってきました。
そしていよいよ図鑑の出番です。
初めて図鑑を使う人もいたため、どうやって使うのか?また、図鑑には様々な種類があり、どの図鑑が使いやすいのか?書かれている内容はどう違うのかなども比べていきました。
実際に図鑑を使ってみることで、「ここの写真が欲しい!」や「もっと細かい見分け方も欲しい!」など必要な情報がわかり、自分が使いやすい図鑑が見つかります。
種類がわかったら、みんなでお客様にお伝えする解説内容を共有しあい、その植物について学びを深めました。
「文化や歴史など、どうやって人と関わってきたか?」
「その植物の形にはどんな意味があるのか?」など様々な観点で知ることはお客様に楽しんでいただくためにとても大切なことです。
最初は図鑑を使うことに必死だった参加者も徐々に慣れてきて最後には植物の特徴をつかみ、スムーズに図鑑で調べることができていました。植物を一つ一つ調べることは、一見とても大変なことに思われがちですが、慣れてくると発見がたくさんあり楽しいものです。
そしてこんなにも日常に様々な種類の植物があるのかと驚くほどです。植物のことを知り、魅力を知るきっかけとなる研修となりました。
ショートロープ技術の実践
研修の概要
- 研修の目的:
ショートロープ技術の実践 - 開催日時:2023年10月27日(月)
- 場所:甲府市黒平 燕岩岩脈周辺
- 参加人数:11名
研修内容
前日の平木ガイドによる基礎編を経て、実際にフィールドでショートロープを実践するというロープワーク2日目。
今年、ロープがらみの各種講習会に行った時、まずロープのセンターマークがあるかどうか確認します。ほぼ毎回センターマークがない人がいるので、いつも持っているナイロンにダメージを与えないマーカー(ペンタイプ)を貸してマーキングしてもらいます。センターマークはロープを伸ばした時、ロープの残りの長さの目安になります。
次にロープの束ね方で、首で束ねる振り分けと、手で束ねる振り分けと、手で行うコイルにする束ね方が必要だという説明です。首で束ねる振り分けは早いからです。手で束ねる振り分けは連続してロープを使う場合早く束ねられるし、極端に言えば歩きながらでもロープを束ねられます。コイルは背負い搬送に使えます。どの束ね方にも共通するのは最後の末端処理のひと巻きひと巻きをしっかり締めるということです。ひと巻きが緩いと束ねたロープはばらけてしまいます。
ショートロープはロープを使った確保技術です。体にセットするショートロープの仕掛けだけ出来ても、理屈がわかっていないと形だけになってしまうと考えました。実際に燕岩岩脈に行く前に、いくつかの確保方法とクライミングのシステムの理解、懸垂下降の理屈などを午前中にやりました。確保は、肩がらみまたは腰がらみ、立木にスリングを回したムンター、立木を使ったテレインビレイです。それぞれの負荷のボリュームを実感することと方法の確認でした。肩がらみ腰がらみは支点が確保できない場合にどうしてもしなければなりません。ポジション取りをどうするかということで、セカンドの人に急斜面をロープでごぼう登りをしてもらいました。ごぼう登りを肩がらみで支えるということだけでも結構な負荷です。ムンターが一番確実ですが時間がかかります。テレインビレイはしっかり角度を考えないと使えません。
ロープワーク全般に言えることですが、基本の結びから、それをどんなスチュエーションで使うかということなのですが、その引き出しを持っていないと実践で使えないわけです。今回の確保方法だけでなく、参加者の経験値、引き出しを増やすような研修にしたいと思っていますが、1度や2度の研修ではスキルアップは難しいと思うので、それぞれの会員が経験値を上げていっていただきたいと思いました。
2023年11月26日 「ショートロープ技術基礎」
研修の概要
- 研修の目的:
ショートロープ技術のおさらいと研修 - 開催日時:2023年10月26日(日)
- 場所:マウントビア黒平
- 参加人数:10名
研修内容
夏山シーズンを終えても、ガイド技術の研鑽は続きます。
今回は2日間で、「ショートロープ歩行技術」のおさらいと研修を行いました。
1日目は平木ガイドが担当で、ショートロープ技術基礎編を行いました。
ショートロープ技術は、一見お客様とガイドをロープ等でつないで、歩いているだけに見えます。
そのため、危ない所でお客様が足を滑らせたときに、それ以上落ちないための技術だと誤解されます。
実際の山行中でこの技術が使われることが多いのは、疲れて少しふらつきなどが見られるお客様への転倒防止のためのバランスの補助、山行中危険なところの通過時の補助の時です。
時間的にも長く行われる可能性があるので、力学的、身体工学的、用具的に、理にかなった方法でなければ、かえって危険なことになります。
参加したガイドすべてが少しの誤解もなく、この技術を理解するため、基礎からじっくり検証を行いました。
ロープの疑似一本橋でバランスの悪い状態を作りだし、どの方向に、どの高さで、どれくらいの力で、どのような体勢で導くのが良いのか?それぞれ、ガイド役、お客様役を替わりながら、自分で体験をしました。
次に、比較的すぐにザックから引っ張り出せる長めのスリング使って、平地、坂道で簡易ショートロープ技術の復習をしました。
そしていよいよロープを使ってトレーニングをしました。
ロープを使う利点は、急な坂道などで、ガイドがお客様を安全にビレイできることです。自然物を使うテレインビレイや、スリングなどで支点を作りだす方法、ガイド自身の体を支点にするボディビレイなどのおさらいをしました。
明日は、三上ガイドによる山での実践トレーニングを行いました。 続く
沢登りと幕営
研修の概要
- 研修の目的:
初級の沢登りと沢の中で幕営をすることによって山の経験値を上げる。。 - 開催日時:2023年10月3日(火)〜4日(水)
- 場所:尾白川鞍掛沢~乗越沢~鞍掛山~錦の滝
- 参加人数:6名
研修内容
山の総合力を磨くなら沢登りといわれます。ガイドとして山の総合力を磨くために、山梨県の尾白川鞍掛沢~乗越沢~鞍掛山~錦の滝を1泊2日で歩いてきました。
整備された登山道はなく、眼前に次々と障害物が現れるのが沢です。ロープでしっかりと確保し安全ななことを確認したうえで沢を登っていきます。
傾斜のある滝などのイメージですが、普通の河原状のところでも、やはり最近の雨の降り方が酷くなったことによる変化を強く感じました。水で運ばれた不安定な岩が多いと思ったわけです。こういった現象は沢に特化したものではなく、これからは林道や登山道の崩落などは常に意識しなければならなくなるのだと思います。崩れたところをどう登るか?どう下るか?というテーマに対応した研修になりました。
気象講座 気象解析に基づく行動判断
研修の概要
- 研修の目的:
地上天気図や高層天気図などの気象情報を活用して山行期間にわたる気象変化をとらえ、天候の悪化を事前に予測・回避する客観的な手法を習得する。 - 開催日時:2023年10月14日(土)〜15日(日)
- 場所:八ヶ岳自然文化園 研修室
- 参加人数:26名(延べ)
研修内容
私たち山のガイドはお客さまに山を楽しんでいただくお手伝いをするのが務めですが、その前提になるのが「安全」です。天気の良い日の登山は楽しいものですが、ときに気象が脅威となることがあります(写真1)。
今回は気象予報士でもあるガイドが講師となり、2日間にわたって天気図の読み取りとそれに基づいた行動計画の作成、山行の判断とお客さまへの伝え方についてじっくりと研鑽を積みました。
研修は講義、実習、グループディスカッションの形式で行われました(写真2)(写真3)。ガイド研修は山域で行うのが通常ですが、本研修は八ヶ岳の自然豊かな環境の施設内での開催となりました。
参加したガイドからは「明日からの山行に反映させたい」という熱意が感じられ、講師をたじたじ状態にするほど質の高い質問が飛び交いました。
過去の気象遭難の事例を研究すると、天気図の解析が不十分であったり、自己の経験に基づいた主観的な判断が主たる原因のようです。一方、最近は多くの気象情報が入手可能となりましたが、それを効率よく使いこなす技術は利用者に委ねられています。
このような状況を踏まえ、本研修は安全性を判断するのに必要十分な天気図の種別と解析手法を明らかにし、それをもとに作成する「山岳気象シナリオ」という行動計画表は、誰が見ても同じ判断ができるような工夫がされていました(図1)。
2日目の午後はケーススタディの演習でした。過去の天気データを各自で解析してシナリオを作成、目的の山行が危険な場合は代替ルートを検討してお客さまにご説明するという一連のフローを確認しました。
これからガイドは自分の活動する山域や職能に応じて各自で落とし込みを行い、みなさまの頼りになるパートナーとして活動してまいります。
研鑽を積むガイドたちを八ヶ岳がやさしく見守ってくれていました(写真4)。