6月研修 『身近な症例から学ぶ傷病者を発生させないための予防法と発生時の初期対応』

研修の概要

  • 研修の目的:登山中の身近な怪我や病気の基本知識を身につけ、発生させないための予防法をまなぶとともに、発生時の初期対応実践力を身につける。
  • 開催日時:2023年6月25日(日)9:30~15:30
  • 開催場所:アイプラザ豊橋
  • 参加者:8名

研修内容

ファーストエイドとは?
急な病気やけがをした人を助けるためにとる最初の行動。
危急時に対応できることはガイドとしては大事なこと。しかし、その前に・・・。傷病者を発生させないことの方が、もっと大事ではないでしょうか?
登山ガイド、兼、山岳看護師である講師から、まずは、山中ではなく、都市部での症例を紹介しました。

どうして、そのような症状が起きたのか、参加者の皆さんで考えてもらい意見を出し合った後、講師より根拠となる基礎的な病態生理について説明しました。日常生活でもある都市部での体の変化をおさえた上で、山という自然環境、登山という負荷が、さらにどのような体の変化をきたすのか、参加者の皆さんに考えてもらい、意見を出し合いました。山では小さなトラブルが重大事故につながる恐れもあります。
6月の研修開催だったため、夏山シーズンに向けて、午前中は、脱水症、熱中症について考えました。脱水症から、高山病にもなりやすく、判断力の低下、体力消耗による滑落、転倒、骨折をも引き起こします。

WBGT(暑さ指数)
ガイド登山の時は持参しませんが、講師が山中での大会、救護チームとして入る時は持参。
研修当日は風も吹いていて、過ごしやすい1日でした。

身近な実際にあった症例の1つ1つをアセスメントしました。ガイドとして何を考え顧客へ声かけするか、ガイドとしての役割、予防方法は?今後の登山行動計画は?ガイド視点で考えました。
症例を通して、基礎的な病態生理をおさえた上で、参加者のガイド達、ひとりひとりの経験談を共有しました。静岡山岳自然ガイド協会所属のガイド達は、いろんなバックグランドのメンバーがいるからこそ、いろいろな意見が出ます。会員ひとりひとりがもつ経験談は生きた教材となります。
ガイドは、まずは山岳遭難を起こさないように自ら予防すること、もし、予測外のことが起こってもセルフレスキューできるようにすることが大事です。しかし、それでも不測の事態が起こってしまったら・・・。自分の顧客ではなくても、山で傷病者を見かければ対応せざるをえないです。その時の対応方法についても、確認しました。救助を要請する時の判断についても確認しました。
そして、手の負傷や、足の負傷があるにも関わらず、自力下山することになった時の、固定方法は?スピーデイにできて、シンプル、確実であり快適であること。しかも、傷病者がバランスを崩すことなく、安全に下山できる方法。それぞれの工夫を持ち寄り、そして傷病者側の感想も意見交換して共有しました。

静岡山岳自然ガイド協会は、和気藹々とアットホームな雰囲気の中、研修を通して、お互いに意見交換しました。会員メンバーとともに一緒に自己研鑽ができるところがよいところです。
 お客様の安全を保障するためには、ガイドだけでなくお客様自身の意識も大切です。ガイドがお客様にわかりやすく説明するためには?ガイドが自ら行動で示したり、イメージしやすいように日常生活に置き換えて顧客へも説明します。例えば、血液と宅急便の話や、脳とゆで卵の話(笑)。
安全を保障し、お客様に山で楽しんで頂けるように、真剣に考え、意見交換した研修となりました。